
私たちは日々、数えきれないほどの選択をしています。
「やる・やらない」
「行く・行かない」
「受ける・断る」
「続ける・やめる」
昔より便利な世の中になった一方で、決めることの量はむしろ増えています。
そして多くの人が気づかないまま抱えているのが、“決断し続けることの疲れ”です。
仕事、家庭、人間関係、健康、将来。
どれも大事だからこそ頭で考え続け、正しい選択をしようとする。
でも、頭だけで決めようとすると、体の声が聞こえにくくなります。
胸のざわつき。呼吸の浅さ。お腹の固さ。肩のこわばり。
それらは本来、“まだ言葉にならない自分の本音” なのですが、
スケジュールに追われるほど、私たちはそれを感じる余裕を失っていきます。
私はし、自分自身がそういった経験をしたことがあるヨガ・瞑想を教える中で、数えきれない人たちがこの“体の声の置き去り”にして「なんだか苦しい」という感覚を持ってる人にも出会ったことがあります。
そして気づいたのは、体は、頭よりも先に答えを出しているという事実です。
今日は、体の声に気づくことで生き方がどのように変わるのかを、実践的かつやさしい視点で書いていきます。
頭で考え続けると、本心はますます遠ざかる
気づかないうちに、私たちの判断は「頭の正しさ」に偏っていきます。
・受けたほうがいい
・行ったほうがいい
・頑張ったほうがいい
・無難なほうを選ぶべき
・期待に応えたほうがいい
これらは一見よさそうですが、体の感覚が完全に無視されてしまうことがあります。
たとえば、ある誘いが来たとき、胸がスッと軽くなることもあれば、なぜか呼吸が浅くなることもあります。
けれど大人になるほど、その感覚を切り捨ててしまう。
・「せっかくだし行くべき」
・「常識的には受けたほうがいい」
・「期待を裏切ってはいけない」
そういう“頭の声”で体の反応を上書きしてしまうのです。
すると体は、「どうせ聞いてもらえないのだろう」と静かに黙り始めます。
結果、本心がどこにあるのか、自分でもわからなくなる。
これはヨガのレッスンでも、瞑想でも、とても多く出会う悩みのひとつです。
子どもの身体感覚からわかること──体の声を聞く練習の重要性

藤野正寛さんの TED で、小学生にこんな質問が投げかけられていました。
「嘘をついたとき、体にはどんな感覚が生じるかな?」
子どもたちは、このように答えたそうです。
・「胸がチクチクする」
・「お尻がソワソワする」
このエピソードが示しているのは、体はいつも小さなサインを出している ということです。
そしてそのサインに気づくことは、大人にとっても同じくらい大切です。
体の声を丁寧に聞く練習を重ねていくと──
・自分の本音がどこにあるのか
・本当に疲れているのか
・やめたいのか、続けたいのか
・喜んでいるのか、無理しているのか
こうした判断の“土台”が自然と整っていきます。
つまり体の声は、迷わず生きるための基盤 のようなものなのです。
藤野正寛さんの TED の最後の言葉──内側の注意が、生き方を変えていく
藤野さんは TED の最後で、こう語っていました。
「内側に注意を向けることで、世界との関係が変わっていく」
体に注意を向けるというのは、単なる感受性を上げることでも、スピリチュアルな話でもありません。
もっと現実的で、実用的なことです。
体の声に気づけるようになると、
・無理しなくなる
・直感と理性のズレが減る
・自分の限界を早めに察知できる
・判断ミスが減る
・行動が軽くなる
・生き方の質が少しずつ変わっていく。
ヨガや瞑想が伝えてきた知恵と、彼の言葉が重なる瞬間でした。
「嫌だと気づいているけどやる」と「気づかずにやる」は、まったく違う

体の声に気づくことは、“嫌なことを全部避ける生き方”ではありません。
私たちには、やりたくなくても必要なことがたくさんあります。
大事なのは、
・ 嫌だと気づいたうえで選ぶか
・ 嫌だと気づかずに自動操縦で続けるか
この違いだけです。
気づいているとき自分を守ることができます。
・休むタイミングが早くなる
・頼ることができる
・予定を調整できる
・無理を予防できる
でも気づかないまま突き進むと、体はずっと緊張を抱え続けます。
・呼吸が浅い。
・肩が上がる。
・胃が固い。
・夜に考えが止まらない。
これは体が出している“赤信号”です。
瞑想でよく言われる、
「不快に気づきながら座っているのか、気づかずに耐えているだけなのか」
は、日常の意思決定も同じです。
体のサインに気づくことは、自分を大切に扱うための最もシンプルな方法なのです。
今日から始める「体で決める」静かな練習
体の声を聞く練習は、特別なことではありません。
今日から静かに始められます。
① 誘いにすぐ返事をしない
メッセージを読んだ瞬間の体の反応を見る。胸が広がる? しぼむ? 呼吸は深い?
② タスクを体の反応で振り分ける
頭ではなく、体を基準にする。
③ 一日の終わりに「体の一行日記」
「胸が軽い」「お腹が重い」など、感情ではなく“体で書く”。
④ 違和感を否定しない
小さな違和感は、未来を守るサイン。
⑤ 朝の数呼吸で体をスキャンする
1分でもいい。“今日の体”にチェックインするだけで、判断の精度が変わります。
おわりに──体は、あなたを裏切らない

体は、私たちを傷つける選択をしません。
胸のざわつきも、呼吸の浅さも、「ちょっと待って」と教えてくれるサイン。
今日、あなたの体はどんな声を出していますか?
どうかその小さな声を、忙しさの中に埋もれさせず、そっと受け取ってあげたいですよね。
次の一歩は、すでに私たちの内側にあります。
藤野さんのスピーチ⇩
