
セラピカルヨガとは、セラピー、メディカル、ヨガを組み合わせた造語です。
セラピカルヨガでは、身体を構造上理想的とされるアライメントに整えた状態を、力を抜いた状態で維持します。
このとき、身体の力が自然に抜けるとともに、心も静かに落ち着いていくのです。
今日は、先日開催されたセラピカルヨガとヨガニドラのトレーニングから、私が担当したセラピカルヨガのパートについてレポートします。
「中立」という革命的な概念
セラピカルヨガにおいて最も重要なキーワード、それが「中立」です。
中立は、体が本来持つ自然なアライメントに沿った状態であり、すべての緊張から解放された究極のバランスポイントなのです。
中立のアライメントがもたらす変化
セラピカルヨガの体位(アーサナ)は、すべてこの中立のアライメントに基づいて構築されています。
無理な力を使わず、重力に逆らわず、体の構造に沿って自然に配置される各パーツ。
この状態になったとき、私たちの体は驚くべき変化を見せ始めます。
血流が改善され、神経系が静まり、筋肉の不要な緊張が解けていくことを体感します。
それは体が「ああ、これが本来の私なのか」と思い出す瞬間でもあります。
強制的な休息という贈り物

現代社会に生きる私たちは、休息することを忘れがちです。
常に何かをしていないと不安になり、リラックスすることさえ意識的な努力が必要になってしまいました。
セラピカルヨガは、この状況に対して「強制的な休息」を提供します。
プロップス(補助具)に支えられ、中立のアライメントに導かれることで、体は自然と深いリラクゼーション状態に入っていきます。
これは意志の力ではなく、構造的に休息せざるを得ない状況を作り出すのです。
マインドフルな状態への自然な移行

中立のアライメントに体が整うと、心もまた自然と静寂に向かいます。
体の緊張が解けることで、心の緊張も同時に解放されていく。
これがセラピカルヨガにおけるマインドフルネスの特徴です。
無理に集中しようとするのではなく、体の自然な状態に従って心も静まっていく。
思考を止めようと努力するのではなく、体が中立に戻ることで思考も自然と鎮静化していく。
これは従来の瞑想法とは全く異なるアプローチです。
4つの要素の相互作用
中立のアライメント → セラピカルヨガの体位 → 強制的な休息 → マインドフルな状態
この4つの要素は循環的に作用し合います。
中立のアライメントに基づいたセラピカルヨガの体位が強制的な休息を生み出し、その休息がマインドフルな状態を促進する。
そして、マインドフルな状態がさらに深い中立のアライメントを可能にしていく。
体験者が語る変化

「中立の姿勢では血行が良くなり、まどろんだ後はスッキリする」という声は、まさにこのプロセスを表現しています。
体が中立に戻ることで生理機能が最適化され、心も自然と平和な状態に導かれる。
そして目覚めた後は、本来の自分に戻ったような清々しさを感じるのです。










現代人への処方箋

私たちの多くは、「正しい姿勢」を意識的に作ろうとして、かえって緊張を生み出してしまいます。
セラピカルヨガが提示する中立のアライメントは、この努力のパラドックスから私たちを解放してくれます。
努力ではなく構造で、意志ではなく自然の法則で、体と心を本来の状態に戻していく。
これこそが、現代人が求めている真の休息の形なのかもしれません。
深い変容への扉

セラピカルヨガとヨガニドラの実践は、単なるリラクゼーション以上の意味を持ちます。
中立のアライメントに導かれた体験は、私たちの日常生活における姿勢や呼吸、さらには物事への取り組み方まで変化させていく可能性を秘めています。
強制的な休息を通じて得られるマインドフルな状態は、忙しい日常の中でも思い出すことのできる静寂の記憶となり、私たちの人生に新しい質をもたらしてくれるかもしれません。