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バリ島で感じた「めぐり」― ヨガムドラ・リトリート同行記(2026年8月18日〜22日)

2026年8月18日から22日までの5日間、バリ島でヨガムドラのリトリートを開催してきました。

水の禊(みそぎ)、大地の再生、そして食のめぐり

――一見バラバラに見えるこの3つの体験は、じつは一本の糸でつながっています。

バリの人々が千年以上も大切にしてきた「めぐり(循環)」という考え方です。

バリ島での自然や瞑想、サステナブルな暮らしに興味のある方、次のリトリートへの参加を検討している方に、この旅の空気が少しでも伝わればうれしいです。

リトリート全体を貫く思想 ― トリ・ヒタ・カラナ

バリの言葉に「トリ・ヒタ・カラナ」というものがあります。

「幸せをもたらす3つのもと」という意味で、人が健やかであるためには、

①神さまなど目に見えない大きな存在との調和、

②まわりの人との調和、

③自然・大地との調和、この3つのバランスが大切だという考え方です。

バリの人々は千年以上、これを暮らしの真ん中に置いてきました。

今回のリトリートも、知らず知らずのうちにこの3つの調和をたどる旅になっていました。

2日目の「ムルカット(水への祈り)」は神さまとの調和、ヨガムドラで大切にしている「ギフトの循環(与え合い、分かち合う時間)」は人との調和、そして3日目の大地の再生と4日目の料理体験は、自然・大地との調和にあたります。

水をきよめ、大地をめぐらせ、食でいただき、最後にその知恵を自分の暮らしへ持ち帰る――そんな5日間でした。

この思想は、9世紀ごろから続く「スバック(subak)」という水の分かち合いの仕組みにも息づいています。火山の湖から湧いた水を、用水路を通して水の寺院にお参りさせながら、下流の棚田へ順番に分け合っていく。水を独り占めせず、感謝しながらみんなで使うこの仕組みは、2012年にユネスコの世界遺産(「バリ州の文化的景観:トリ・ヒタ・カラナの哲学を表現したスバック・システム」)にも登録されました。

どんな人たちが集まったか

今回集まってくれたのは、環境問題への関心がきっかけというよりも、バリ島そのものに惹かれていたり、日頃からヨガムドラの実践を続けていたり、瞑想やヨガのリトリートを探して見つけてくれた方たちでした。でも実際に一緒に旅をしてみると、ヨガや瞑想を続けている人だからこそ、自然や環境への感度もとても深いのだと気づかされます。今回もそんな、静かに共鳴し合える仲間が集まってくれました。

1日目(8/18) ― マナからはじまる、ゆるやかな始まり

参加者それぞれの到着時間がバラバラだったため、当初の予定を変更し、まずは今回の宿泊先である「マナ アースリー パラダイス(Mana Earthly Paradise)」のホテルツアーから旅をスタートすることになりました。

ここはウブド郊外にある、日本人オーナーのあすかさんが運営するエコホテルです。

ヴィラは土のうを積み上げていく「アースバッグ工法」で建てられ、施設内の照明はすべて太陽光発電、水は雨水を濾過して循環させています。

敷地内の畑で自然農法で育てた野菜が併設レストランでも使われていて、暮らしそのものがトリ・ヒタ・カラナの実践になっている場所です。

ツアーのあとはみんなで夜ご飯をとり、小さなブレスワークの時間を持ちました。

まだ出会ったばかりだったにもかかわらず、初日からすでにみんなの心がほどけてうちとけていくのを感じました。

2日目(8/19・水)水/WATER ― 聖なる泉ティルタ・ウンプルでムルカット

2日目は、バリ島屈指の聖地「ティルタ・ウンプル(Tirta Empul)」へ、禊の儀式「ムルカット(Melukat)」に向かいました。

ティルタ・ウンプルとは「地から湧き出る聖なる泉」の意味。

中部バリ、タンパクシリンのマヌカヤ村にあり、西暦962年ごろ、ワルマデワ王朝の時代に創建されたと伝えられています。以来千年以上、儀式が絶えず続いてきた「生きている寺院」です。

伝わる神話によれば、悪王マヤダナワが兵たちを毒で倒したとき、神インドラが大地を突いて泉を湧かせ、その「アムルタ(不死の水)」で兵を蘇らせたとされ、この水は癒しと再生の力を宿すと信じられています。「ムルカット」の語源は古ジャワ語の「lukat(清める)」。

水の力で、負のエネルギーやけがれ、こだわりを洗い流し、身体・心・魂を清める儀式です。

サロン(腰布)を身につけ、チャナン・サリ(花の供物)を捧げて祈りを整えたあと、十数か所並ぶ湧水口をひとつずつ、頭を垂れて水を受けていきます。冷たい山の湧き水が肩に流れ落ちた瞬間、頭の中の雑念がすっと洗い流されていくような感覚がありました。

禊のあとは、私が大好きなレストラン「MOKSA」でランチをいただきました。ここは敷地内で育てたものをそのまま食卓に運ぶスタイルが特徴のヴィーガンレストランで、「土地のものを、土地でいただく」という体験そのものがとても心地よい場所です。

3日目(8/20・木)大地/EARTH ― SAISEI、大地の呼吸を取り戻す

3日目はバトゥール山の方へ向かい、「BALI SAISEI PROJECT」を主宰するAKIKOさんのご自宅を訪ねました。

ひっそりと佇むあきこさんの家

SAISEIは、日本で広がりつつある環境再生の手法・思想を、バリの土地と文化に寄り添うかたちで伝える取り組みです。もとになる「大地の再生」は、造園技師の矢野智徳さんが確立した手法で、中心にあるのは「空気が動かないと、水は動かない」という視点。現代の土木がコンクリートなどで土の中の水や空気の通り道を分断してきたのに対し、大地の“呼吸”、つまり空気と水のめぐり(通気浸透水脈)を取り戻していく考え方です。

アグリフォレストツアー

この日は、AKIKOさんが実際に暮らしの中で作っている建物や果樹園、コンポスト(堆肥)、コンポスト・トイレなど、暮らしのなかの「循環の仕組み」を見せてもらいました。さらに、スコップや鎌を使って自分たちの手を実際に動かす実践ワークも。

土地のオーナーであるバリ人男性の案内で山の傾斜を歩き、バナナやコーヒー、スネークフルーツなど、さまざまな作物や果樹が育つ様子も見せてもらいながら、頭ではなく体で「森がどうやって成り立っているのか」を学ぶ時間になりました。

みんなで野原に座って聞いた話のテーマは、山から川、そして海へ、また蒸発して空へと巡っていく水の循環について。都市化が進んで建物が増えると、この循環がうまく機能しなくなり、下流に流れる水や、再び雨として降ってくる水そのものが減っていく

――そうした水不足や水害が、今世界各地で深刻な問題になっているというお話でした。大地の再生をもとにした手法は、大きな工事をしなくても、庭先から始められるのだと教えてもらいました。

皆で考える時間

お昼には、オーナーの奥さんが作ってくれた地元料理をみんなで囲み、摘みたてのハーブを使ったお茶や、手作りのお餅もいただきました。奥さんはバリの司祭(神官)としての役割も担っている方で、旅の始まりにはお祈りの儀式もしてくださり、その神聖な時間をみんなで受け取ることができました。

4日目(8/21・金)食/FOOD ― Green Kitchen、市場から食卓、そして土へ

4日目は、バリ島シドメン地区にある料理教室「グリーンキッチン」を訪れました。

バリ料理の根は、千年以上前からの稲作の暮らしと、9世紀にはじまるスバックが潤してきた棚田にあります。

バリでは食はただの栄養ではなく「捧げもの」とされ、味の核にあるのが「バサ・グヌップ(base genep)」。genepとは「完全・そろっている」という意味で、ターメリックやガランガル、生姜、レモングラス、唐辛子、にんにく、赤わけぎなどを石臼ですりつぶして作る「完全なスパイスペースト」を指します。この、すりつぶす時間そのものが丁寧な祈りとされてきたのだそうです。

大きなパサール(市場)で食材を選んだあと、グリーンキッチンが所有する畑や棚田を歩いて、料理に使うハーブを自分たちの手で収穫。開放的な屋外キッチンで、薪を使う伝統的な調理法により、アヤム・ブトゥトゥやサテ・リリット、ラワールといったバリ料理を仕上げていきました。

オーナーのニョマンさんは子どもの頃まだ電気が通っていなかった世代で、ココナッツからココナッツウォーターとミルクを取り、そのミルクを煮出してオイルをつくり、そのオイルでろうそくをともし、乾かした殻は炭代わりの燃料にする――取れたものを余すところなく使い切る暮らしの知恵にも触れることができました。そして食べ終えたあとの残りは土へ還り、また畑の恵みになる。とても美しく作られたコンポストの仕組みを見せてもらいながら、食は「いただいて終わり」ではなく、めぐって次へ続くのだと実感しました。

朝と夜にはヨガクラスや呼吸法(ブレスワーク)の時間もあり、体を動かし、畑仕事もし、五感と全身を使ってこの旅を味わい尽くす4日間になりました。屋外でのヨガクラスは、鳥の声や風の音に包まれながら行うことができ、スタジオの中とはまた違った、大地とつながる感覚を味わえるのも、バリ島でのリトリートならではの魅力だと感じています。

おかえりなさい ― 自然の循環と、自分自身の循環

このリトリートを通して、自然と人間はこんなにも似ているのだと、あらためて感じました。

どこかに「詰まり」ができると、その周りに不調和が生まれます。無理に直そうとすると、また別の場所に新しい詰まりができてしまう。

だからこそ、少しずつ丁寧に、自分自身を観察しながらトゲを取り除いていく。この静かなプロセスそのものが、瞑想的なプラクティスなのだと思います。

そして、自分の内側の循環を整えることと、自然の中でよどんでいる場所にそっと手を入れることは、どこかでつながっています。水・大地・食、そして人とのつながり。

今回受け取ったものを、また誰かへ渡していく。そんな循環の「あり方」がとても大切なのだと、この旅を通して改めて教えてもらいました。

リトリートを終えて ― バリ島での自然・瞑想リトリートに興味のある方へ

今回のヨガムドラ・リトリートは、ムルカット、SAISEI、Green Kitchen、ヨガと呼吸のプラクティスを通じて、トリ・ヒタ・カラナ――神・人・自然の調和をたどりながら、自分自身の循環にも丁寧に向き合う5日間になりました。バリ島には、ティルタ・ウンプルのような聖なる水の場所、マナ アースリー パラダイスのようなエコホテル、そして森や畑と共に生きる人々の暮らしが、今もたくさん息づいています。

自然の中で心と体をゆるめ、瞑想的な視点で日々の暮らしを見つめ直したい方、バリ島でのヨガ・瞑想リトリートにご興味のある方は、ぜひ次回のヨガムドラ・リトリートの開催情報もチェックしてみてくださいね。

ヨガムドラ>>

今回の旅のプレゼントの1つ。帽子。

よくある質問

Q. ヨガや瞑想の経験がなくても参加できますか? はい、大丈夫です。今回の参加者も、ヨガムドラの実践者からリトリートで初めてバリ島を訪れた方まで、経験値はさまざまでした。禊や大地の再生ワーク、料理体験など、体を動かしながら自然と向き合うプログラムが中心なので、初めての方でも安心して参加していただけます。

Q. 一人での参加は可能ですか? もちろん可能です。今回も一人で参加してくださった方が多く、旅の中で自然と仲間になっていくのもこのリトリートの魅力のひとつです。

参加してくださった皆さんのおかげで、今回もまた忘れられない時間になりました。心から感謝しています。

次回のバリ島リトリートの開催情報は、ヨガムドラの公式サイト・SNSと、私(Kayoko.wai)のメルマガでいち早くお届けしています。日程や参加募集の開始は、告知から埋まっていくことも多いので、気になる方はぜひこの機会にヨガムドラのメルマガと、Kayoko.waiのメルマガの両方にご登録のうえ、次のお知らせをお待ちいただけたら嬉しいです。