突然だけど、お子さんをお持ちのみなさんは自分の子供に心の扱い方を教えてますか?
私は、大人になってから心の扱い方にたくさん悩みました。そして自分が子供のころに心の扱い方を教えてほしかったなと、何度も思いました。
だから今私は、娘に心の扱い方を教えています。
心の扱い方とは?
心の扱い方は、自分の感情や思考にふりまわされないようにする取り扱い説明書作りのようなもの。
- 悲しいことが起きた時にどうやってその感情を処理すればいいのか
- 悔しいことが起きて誰かを憎みそうな時に、どうやってその思いにこたえればいいのか
- 怒りでおおいつくされそうな時に、どうすればその怒りが消えてくれるのか
私たちは、こういった心の扱い方をあまりにも雑に教えられてきたと思います。
例えば
- 泣くのはなんとなく恥ずかしいこと。(涙をする大人があまりいなかったよね)
- 悔しいときは、そこを乗り越えてなんぼ!
- 怒ることはよくないこと
実際は
- 泣くのは恥ずかしくない
- 悔しいからといって、乗り越える必要はない。そうしたい人はすればいい
- 怒るのは普通のこと
だったりする。
こいういった勘違いの積み重ねで例えばこんなことが起きるよね
- 自分を責めすぎる
- 自分に厳しすぎる
- 自分がどうしたいかわからなくなる
この積み重なりは、対人関係の問題になります。それは家庭、学校、会社とあらゆるところで表面化します。(自分を責めたり厳しくするのは実は生態学的に普通なのですが、必要以上にそうする傾向にあります。)
これらの本質的な問題は、自分の心の扱い方を知らないことです。
ただ、心の扱い方は難しくてしかも一人一人方法が異なります。だから学校ではなかなか教えることができません。でも絶対必要なことなんです。
だから家庭で教えてあげるんです。
子供の成長にあわせて
今、私の子どもは10歳なんだけど、心の扱い方について話し始めたのは9歳終わり頃からでした。
9歳終わりを選んだ理由
心理学者ピアジェの発達理論では、7歳~11歳にかかる年齢は具体的操作期です。他者の気持ちがわかり始める時期です。ただし、抽象的な概念、例えば愛とか平和についてはまだ理解できません。
11歳以降は、形式的操作期です。抽象的な概念が理解されはじめ、物事を理論的にも考え始められます。
それからこのくらいの年齢期は第二次性徴期で内分泌の変化が始まります。つまり心と体に大きな変化が押し寄せる時期ということです。
寄り道
公立学校は小学4年生で余りのある割り算を学ぶらしいです。だけどまだ抽象的な概念を理解できない子どもは割り算の概念を理解できず葛藤し、ストレスとなるそう。学習においてこのようなストレスが重なりそれが9歳の危機となって現れることが一部で示唆されてるようです。
学習内容変えてくれ!と思わず考えてしまうけど、まあ私たちもそこを乗り越えてきたから大丈夫よね。
話を元に戻して・・・
子ども自身、自分でもわからないイライラがでてきて心の扱い方に困り始める時です。同時に少し難しい説明に理解できるような年だと考えられます。
子どもの状態にもよるけれど、私の場合9歳の終わり頃からなんとなく娘の変化を感じていました。だからその頃から心の扱い方についての教育を始めました。
ちょうどその頃、娘が通うシュタイナー学校の先生から9歳の壁についてと、この時期の親の在り方について聞いてたんです。そこでは、親はドーンと構えておく。心が変化しやすい時期だから、その理解でどんと構えておくということ。
その通りにしようと思ったけど、とっても難しかった笑。通常より怒りやすい娘を前に、「この方法だけではうまくいかない!」と思ったんです。
そこで我が家では、ドーンと構えるのはほどほどに、コントロール不能になりすぎている娘には、ピシャリと一言言うようにしたり、力づくで部屋を分断し、落ち着くまでそれぞれの部屋に留まるなどの工夫をしました。
そして落ち着いた後に仲直りをして、良いと思ったタイミングで心の扱い方の話をするようになったのです。
心の扱い方の教え方
じゃあ、どうやって教えていくのかと考えた時に、私が選んだのは、この2つです
1.親や大人の悩みや困ってることや対処方法を伝える
2.1に対する話し合い+心の扱い方を一緒に考える
まずは1から始める理由があります。
そもそも子どもは、心の扱い方が大切だとは思っていません。大人になって拗らせてしまう人がわんさかいるなんて、一つも考えてないんです。
だから、ほとんどの大人が心の扱い方の難しさに困ってるという話から始めます。
それでどういうふうに困りごとに対処していくかを伝えることで、2の心の扱い方について自然と考えることができるんです。
話す時は、できるだけ深刻に話さず物語風で話すのがポイントです。それから子どもは大人に対して基本的に尊敬の気持ちをもっています。だから、大人を馬鹿にするような話し方はしません。完璧ではないけれど、生きている素晴らしさを強調します。
偉そうに書いてますが、この方法10回してうまく話し合いできるのは1回程度です。
その時の子どもの気分がよく、上手な例え話ができて、しかも私自身も機嫌が良い時にうまく伝わる程度です。
次の日聞くと覚えてなかったりすることもたくさんあるけれど、その程度で十分です。
ただ、継続的に定期的に話の話題がでて、少しづつ身に染みついていく程度でいいんです。
親も人間だから、聞いてもらえないとイライラするしね笑
私は時々聞かれなさすぎて怒っちゃって、本末転倒になることがあります。でも反省しながら、またチャレンジすればいいと思ってるよ。
1.親や大人の悩みや困ってることや解決方法を伝える
では大人になって悩んでること、それで困ってること、どうやって対処しようとしているかという話を、私のことを例に紹介します。
例えば怒りをテーマに話す時。
- (悩み)怒りのコントロールができない時がある。
- (困ってること)怒っちゃダメだけどあなた(娘)を怒ってしまう時がある。自分でもすごく反省している。ごめんなさい(怒ったことが自分のコントロー不能ゆえに起きたのであれば、そのことを素直にあやまるべき!)
- (自分なりの対処)声に出す前に深呼吸をしてる。瞑想を毎日してて心のモニタリングをしてる。
悪いと思った時は、後からでも謝るようにしている。
こんな感じです。ちなみに私は自己アピールを忘れません。「ママは、5年前より怒らなくなったよね?だってママすごく頑張ってるもん」とかよく言います笑
そうやって一緒に頑張ろうねアピールをしています。
自分のこども時代を振りかえり・・・
私は親からこんなふうに話をされることはありませんでした。それどころか親は、子どもに一方的に教える者として君臨していました。
明らかに間違えたことを言ってもそのままでした。感情のままに怒られている時もありました。
そうやって育ってきた結果、子供時代の私は
「親や大人は正しい、従わなければ」という考えと「親や大人は正しくない、信じるな」という矛盾した考えをもつようになっていきました。
そして自分が大人にあてはまる年齢になったときに、「親や大人は正しい、従わせなければ」しかも「信じてほしい」という自分になっていたように思います。
今は、「親や大人も間違える時はある。生きてるから当然」という考えになってます笑
話を「1.親や大人の悩みや困ってることや解決方法を伝える」に戻します
自分の悩みや困ってることを話すと、子どもになめられるんじゃないか?!と思うかもしれませんが、そんなことはないです。
むしろ、話をすることで子どもは一緒に心のコントロール方法を学んでおこう!という気になります。
一方的に教える「敵になりつつある親」が、一緒に心のコントロールに向かう「仲間」になるんです。
心理的に人は共通の敵を見つけると仲間意識が高くなるんです。だから子どもと共通の悩みを敵(敵とわざわざいうことはしてないです!)とみたてることで、子供と一致団結できるんです。
それから親の悩みをいうと、本当に一生懸命話を聞いてくれます。
まさか親がそんなことを悩んでいるとは?!私(娘)と一緒じゃない!という感じです。
初めて話した時に言われた言葉は、「ママもそんな風に悩んだりするん?」だったのをよく覚えています。
よく考えると、親が子どもに怒ってしまうだいたいのことは、親自身もできないことだったりするよね。
例えば自分が1人でリラックスして遊んでる時に片付けはしないと思う。散々散らかして後で片付ければいいや、と思ったりすることもあったり。
癇癪を起こす子供にイライラして、自分の怒りを抑えられなかったりするはよくあること。
親は、こういう自分を直したいと思いながら直せず、なのに子どもには同じことを要求しちゃうんです。私がそのタイプの親です。本当にやるせなくて子どもには申し訳ないなあと思うことが多々あります。
でもだからこそ、自分もそこに気づいて直してる最中です!一緒に頑張ろう!というスタンスで子どもに接することができるんです。
ちなみに、私は、自分の悩み以外に、大人同士の会話で娘に聞かせたい話が耳に届くようにしています。例えば、大人の心の悩みの話し合いや心についての勉強会です。
家で勉強会を開催してる時は、聞かせていい話に限って聞こえるようにしておきます。
聞かせる時のポイントは、絶対聞きなさいという感じでなくて、聞こえるようにしておくことです。聞きたいところだけを聞かせるんです。聞いてなければそれでいいんです。その時はまだ良いタイミングがきてなかったり、子供にとって話が難しい場合があります。
それでその日の夜や、今だ!と思うタイミングで、娘が聞いていた内容について話し合うんです。娘の心にひっかかって心に残っていることと、私が話したい内容がマッチングした時だけ、話をすすめていくようにしてます。
だから「今だ!」と思うタイミングは来ない時もよくあります。
それはそれでOK.人生は長いからそのうち良いタイミングがやってくるよね。
2.1に対する話し合い+心の扱い方を一緒に考える
良いタイミングで話せる時は、深い話ができます。
私は、結構色々話すけど、毎回いってるようなフレーズがあります。
- 完璧な大人はいない、ママもそう、ついでにあなたもそう
- 完璧でなくてOK。でもそうなろうとするのは良いこと
- 心のコントロールが難しくて大変さを感じている大人はたくさんいる
- あなたはを心のコントロールを今学ぶことができる
- 大人になった時のために今一緒に練習しよう
こうすると私の娘はイチコロです。目をキラキラさせて一緒に頑張るモードになります笑
そこで、娘に必要だなと思う心の扱い方について一緒に考えていきます。
心の扱い方の方法は?
簡単になるけれど、娘と一緒にする心の扱い方の練習を2つ公開します。
1.マインドフルネスの練習
2.深呼吸
今は怒りのコントロールが大きなテーマです。
怒りやすい子の多くは、外側に対して敏感な子が多いです。
だから内側に対する気づきを増やす練習が良いです。
もう一つお伝えしておきたいのが、その子の特徴を理解して、その子にあわせた方法で伝えることです。
「ビリギャル」の映画で有名な坪田先生がだしてるこのサイトをつかって、子供の特徴をチェックしてみるといいかもしれません。
人間は9タイプ 判定アプリ
余談だけど、この9タイプチェックで私は研究者タイプで娘は楽天家タイプでした笑
半信半疑でいじりながら話すとめちゃくちゃ喜んでいてびっくりしました笑
時々素の自分がでて、うんちく話しちゃうと途端に耳がとじていくのがわかります笑
少し具体的な内容は下記です。
1.マインドフルネスの練習
- 怒ってる時の心をモニタリングする練習です。
- 最初は難しいから、紙に文字や絵で書くことがあります。
- 例え話とか似た感じの本のストーリーがあったら、その話を出しながら伝えます。
- 10回怒るうち1回できたらいい感じです。
2.深呼吸
- これは私がさせてるわけじゃなく、がっこうヨガ推進委員会のちず先生の本を見て、自発的にしてます。
- 学校でイラッとすることがあったら、教室の隅の方へ行ってやってる時があると言ってました。想像したら面白くてめちゃくちゃ笑ったら、すごく喜んでました(楽天家だから笑)
ちなみにちず先生は、私が経営するヨガスクールで学校にマインドフルネスを伝える方むけにクラスをされています。
娘が読んでる本はこれです。
とりあえずやってみる
初めて自分の悩みや弱さを開示する時は、とっても躊躇しました。そんなことをするとどうなるかわからなかったし、どこの育児書にもその方法が書かれてなかったからです。
でも自分が子どもの時の記憶が助けになって、この方法にチャレンジすることができたなあと思います。
それからダメだったらやめればいいしなあ、という楽観的な考えもあった気がします。
そんな感じで、やってみてよかったからやる。だめだったらやめるというくらいが自分にはぴったりな気がしています。
大人も失敗するし、当然のこと。失敗したら他の方法を考えればいいということをまた子供に教えられるいい機会になりそうです。
子供にあわせよう
我が家の娘は今のところこの方法でなんだか穏やかになりました。
これは、絶対誰もにあてはまる方法ではないです。
100人いたら100とおり
やり方があってないと思ったら子供にあわせてアレンジしてあげるのが一番です。そうすることで親も楽になれるはずです。
始め方がわからない時
始め方がわからない!という方は、まず自分のプラクティスからスタートしてください。
何においても自分がしていないことを人に教えることはできません。だからもしプラクティスしてない方はそこからです。
・マインドフルネスや瞑想の練習をする
・自分の心と向き合う練習をする
そこにむきあっていくことが大事だから、自分の心をコントロールできなくて全然いいです。
うまくいかなかったこともあわせて、自分の経験を子どもに共有していけばいいだけです。
やってみようと思った皆さん、心から応援しています。なんか思うことがあったらコメントやメールをくださいね。